DJミキサー考察 VESTAX R-3 〜購入に至る経緯(1)〜

以前書いた、Vestax PMC-400に関する記事から気づけば2年あまり。その後もいろいろなミキサーを買っては手放し、といういわゆる「ミキサー難民」状態にあったのだが、ようやくその僕にも終息の地がやってきました。

その状況を与えてくれたのが、今回書く「Vestax R-3」との出会いでした。なぜこのミキサーを選んだのか、そしてなにがすごいのか、少し書いてみたいと思います。

このミキサーに至った理由

最初のロータリーミキサーとの出会いはUrei 1620


僕はハウスミュージックをこよなく愛する人間として17年あまり。最初にDJをさせてもらった、青山にかつて存在した老舗箱Loopにて、幸運にもUrei 1620を利用することができました。その当時はあまりその事自体にありがたみは感じていませんでしたが、不思議とよく音が混ざってDJがうまくなったような印象は今でも強烈な記憶として存在しています。そしてそれをきっかけに、「いつかは家にUreiを、、」と思っていくようになったのでした。

そして購入したのはVestax PMC-25

いつかはUREI、と言っても当時学生だった自分にとって数十万円もするUrei 1620は高嶺の花。また、当時はロータリーミキサーとしてVestaxのPMC-46という選択肢もありましたが、これも20万円近くしており、現実的ではありませんでした。結果、自分が狙いを定めたのは同じVestaxのPMC-25という2chのモデル。デフォルト設定は縦フェーダーのものをロータリーに変更できるため、当時渋谷のマルイの最上階にあった、「Vestax To The CORE」というお店で購入し、ロータリーに変更してもらいました。合計で7万円くらい。両chにHi、Mid、Lowのアイソレーターもついており、自宅でセッティングしたあとはアイソレーターをグリングリンする毎日がしばらく続きました。このミキサー、意外と混ざりもよく、このミキサーでつないだミックスを今でも聞くのですが、いい混ざりをしていると感じます。今ではヤフオクで2万円もしないのを見るとちょっぴり切なくなります。ただ、ハウスのロータリーミキサーの入門機としてはいいモノだと思いますので、最初の1台を探している方はこのPMC-25、オススメできます。

いろいろ購入した結果、Vestax R-1に至る


上記のPMC-25からはいろいろとミキサーをとっかえひっかえしました。PioneerのDJ-M600、400を皮切りに、マイナーなところではVestaxのPMC-40なども。(これは混ざらないけど、とにかく音の良さにビックリした印象があります)Pioneerのミキサーは意外と混ざるしエフェクターも使えるので本当にバランス良いけど、音がやっぱり「Pioneerの音」になってしまう感じ。なんというんでしょうかね、Hi、Midあたりが繊細じゃなくなってしまうという感じです。
で、当時自分なりに「いい音」のミキサーが欲しい!ということで探している時にヤフオクで出会ったのがVestaxのR-1 Premiumでした。このミキサーの存在自体は前のPMC-25を購入する際に店頭に飾られていた時から知っていました。しかし、当時の発売金額が確か30万円近く。PMC-46以上に高嶺の花として諦めた記憶があります。
そのR-1がヤフオクに出てた時、その場で購入を決意。アイソレーターにガリがあったこともあり、安く手に入れることができたのも決意を後押ししました。で、家のDJブースに設置して最初のレコードを試聴した時の音の良さには驚きを隠せませんでした。当時のスピーカーはJBLのControl1でしたが、そのレベルのスピーカーでも音の良さが断然と違うこと。Hiの繊細さ、Midのふくよかさ、Lowのパワフルさ、どれをとってもスゴい。聞くところによると、このR-1はHiFiを求める人でアンプ代わりに使う人がいるとのことで、それも納得。正直、Allen&Heathの62も一時期我が家に存在しましたが、音の良さはこのR-1のほうが上のように個人的には感じます。自分の所有した中ではダントツに音の良いミキサーでした。
しかしこのR-1、ハウス・ミュージックをかけるDJにとって大きな難点がありました。それは「混ぜづらい」ということ。OtaiWebさんがこのVestaxの高級ミキサーをまとめた記事があり、そこに以下のような言及がされています。

「2つの曲が同時に流れているのではなく、2曲が1曲になるようなMIXが出来るミキサー

R-2は所有したことないのでわかりませんが、残念ながらこのR-1にはこの言葉はあてはまらない、と個人的には感じています。それは実際に何名かに利用してもらっての感想からも感じました。とにかくシビア。Allen&Heathのミキサーもそうですが、少しビートがずれたらそれが手に取るようにわかってしまう。Urei 1620のように「ごまかし」が効きません。
まぁ裏を返せば丁寧にビートを合わせれば結構音は1本化するんですが、例えば低音が混ざるではなく、重なったりするので、ロングミックスしていく、という時にはちょっとやりづらいとことがあります。
なので、ハウスDJのようなロングミックスをしないDJにとっては音も抜群に良いし、良い選択肢となり得るのかもしれません。ただその場合でもクロスフェーダーがデフォルトでは存在しないので、別途「MCR-1」というユニットを接続する必要があるでしょう。(クロスフェーダー不要であれば必要はありませんが)

僕は最初にUrei 1620を体験してしまったこともあり、「混ざる」ミキサーが欲しかった。なので、このR-1を利用しながらも他のミキサーを引き続き物色し続けることになりました。