Google急上昇ワードに「デリックメイ」登場!?
つい3日ほど前の話で若干新鮮味がないエントリーとなります。
Googleが提供している「急上昇ワード」27日夜に1時間単位ですが、
「デリックメイ」がランキング10位以内に登場していました。
自分は普段、iGoogleをホームに設定していることもあり、
話題探しにちょくちょくホームに戻って徘徊しているのですが、
そうした中で発見したのがこの「デリックメイ」のお話。
今回は音楽の話を少しマーケティング視点を交えながら考えてみます。
普段クラブミュージックを聴かない方にもマーケティングについて
あまり詳しくない方にもわかるような説明を心がけていきますので、
ご一読いただけたら幸いです。
まず、「デリックメイって何?」という方に非常にカンタンな説明をすると、アメリカ出身のテクノミュージックを掛けるDJ、アーティストでテクノ創成期からシーン拡大に大きく貢献したパイオニア的な存在で、日本を好んでくれているようでたまに来日してDJプレイを披露しています。
ClubMusic情報サイト「higher-frequency」にプロフなど詳しく載ってます。
http://www.higher-frequency.com/j_database/dj_producer/derrick_may/index.htm
テクノが好きな人や、クラブミュージックが好きな人からは大体知られており、まさに「King Of Techno」。熱烈なファンも少なくありません。
「クラブミュージック」という業界に限った話ですがw
クラブミュージックというと、その名前自体は最近のハウスブームなどもあり、徐々に一般的に浸透しているようですが。「クラブDJ」という言葉も合わせ、誤解されていたり、あるいは言葉のみが知られていたりで実態が世間一般であまり知られていない、もしくは誤った認識であるように僕は感じています。
それはこのカルチャー自体が「アンダーグラウンドで派生」し、「アンダーグラウンドであり続ける」というカルチャーに依存する部分が多いのではないかと感じますが、その「アンダーグラウンド」故にネガティブなイメージをもたれる傾向にある気がします。そして、それを助長しているのが、切っても切り離せない「クスリ問題」において、「クラブミュージック」の世界が発生源のひとつとしてマスコミから過剰なまでの偏見報道をされたり(酒井さんの件とかw)することで。
「実態が掴みづらい」「見えない」「よくわからない」といったことが、マスコミの主張に説得力を与えているという流れで、こうした世間一般の認知になっているのだと思います。(少々わかりづらい文でスイマセン)
この話はまた改めて詳しく整理して続きを書きたいと思います。
話が少し逸れたので本筋に戻すと、熱烈なファンもいるがそれは限られた業界の言うなれば非常に「ニッチ」な層なわけで、おそらくニッチと言われていた「アニオタ」創成期の頃よりも全体数は少ないのではと思います。
そうした限られた人のみが知るアーティスト「デリックメイ」が一時的ながらも検索頻度がアップした。そのことがひとつの事件ではないかと思ったのでした。
改めて説明する必要もないかもしれませんが「急上昇ワード」に登場するには検索ボリュームの増加が必要で、その増加の理由として考えられうる仮説を2つ挙げてみます。
A)テレビもしくはヤフートピックスなど何か「世間一般」に影響力ある媒体に「デリックメイ」が取り上げられた。
B)「クラブミュージック」リスナーが「クラブミュージック」についてリアルタイムで情報を取得できる媒体に「デリックメイ」が取り上げられた。
結論から先に申し上げますとB)の仮説が正しそうです。
この日(2010年4月27日)、クラブミュージック動画ストリーミングサイト「Dommune」にて、
夜21時から(?)DJプレイ生中継がおこなわれたようです。(僕は残念ながら見逃してしまいました。。)
Dommune
http://www.dommune.com/
オープンが平日月〜木19時から24時までと限定で配信しているため、
夜19時以降にアクセスしてみて下さい。雰囲気がわかります。
その状況のレポートと今後のDommuneのマネタイズの可能性について、
TechWaveのスタッフブロガーをされているmaskinさんが記事をエントリーされています。
http://techwave.jp/archives/51440944.html
記事中にあるとおり、瞬間最大では1万4千人を突破、トータルでは7万5千人が参加したとのことで、「トータル」がユニークなのか、延べなのかはわかりませんが、それでもこの数字は国内最大級のレイヴパーティの参加者に匹敵する数字です。
そうしたクラブミュージック業界では極めて異例と言っても過言でない数字の動員が起こったことにより、その中の一部ユーザーがデリックメイの情報を取得したいとして動いたというのが今回の「急上昇ワード」ランキング登場の主因かと思われます。
そして、その遠因と言えるのリアルタイムでの情報共有を可能にした「Twitter」というコミュニケーション手段であり、趣味が近しい(あるいは興味を持っている)フォロワーを通じて「デリックメイという大御所テクノDJがDommuneで生プレイを披露する」という情報が爆発的にかつ短期間で広がったのではないでしょうか。そして普段、クラブミュージックを目にしない人もアクセスしたことにより、このトータルの数字、そして急上昇ワードランクインにつながったのではないかと。
コミュニケーションの流れを時系列で軽く説明するとこんな感じでしょうか??
1)[数日前〜当日]
Dommune常連がデリックメイが4月27日に出演することを認知
(一次情報:コアなユーザーの情報認知フェーズ)
2)[数日前〜当日]
情報を知ったユーザーから「即時性高い」かつ共有度高い媒体で情報拡散
(二次情報:コアなユーザー近辺の興味あるユーザーの情報認知フェーズ)
3) [当日朝〜プレイ中]
1、2フェーズで情報認知したユーザーが即時性高い媒体を通じ情報発信(再発信含む)、拡散
(三次情報:コアなユーザー、興味あるユーザーから近辺含む興味あるユーザーへの情報告知フェーズ)
4) [プレイ中]
1、2、3フェーズで情報認知したユーザーが即時性高い媒体を通じ情報発信(再発信含む)、拡散
(四次情報:ここまでに情報認知したユーザーからリアルタイムネタとしての情報発信フェーズ)
なお、即時性高い媒体とは、TwitterやSNSなどのソーシャルメディアを中心に携帯メールやPCメールなどそのユーザー個々の媒体活用方法により発信媒体が異なるため、このような記載とさせて頂きました。ただ、2のフェーズと3のフェーズで発信媒体が異なるユーザーもいれば同じユーザーもいるかと思います。それはそれぞれの媒体活用方法の違いから来るもので、2はリアルタイムでのネタとして情報を利用する場合と、ターゲットに向けて共有促進する場合など、実際のイベントまでタイムラグが発生することにから発生するコミュニケーション目的としたものを含みますが、3はイベントへの時間が迫り来ることにより情報鮮度が優先されたり、アラート的に発信される傾向にあるからだと考えています。
一次→二次→三次→四次という流れで情報が伝播し、拡散していくという流れ自体はよくあることではあるのですが、クラブミュージックという非常にニッチな業界でそれが起こり、興味のなかっただろう人もネタの大きさに釣られてアクセスしてきて巻き込んだ形となったこと。これってクラブミュージックという、現状ではまだ残念ながら小さい世界では初めてのことではないかと思います。(そうでなかったら自分の情報キャッチアップ能力不足です、スイマセン。)
ネットが普及して早くも15年、自分がこの世界を知るようになってから10年以上が経ちますが、その時間の中で「ネットを活用して何かもっと巻き込んでいけないか」と自分も含めていろんな人が考えたり実験してきたと思いますが、ようやくここにひとつの成果が生まれたと勝手ながら思ってしまってます。
クラブミュージックの業界は「お客さんを呼びたい」と思いながらも、獲得フェーズばかりに視点が行き過ぎていて、マーケティングで言うAIDMA理論の「A=Attention(認知醸成)」、「I=Interest(興味喚起)」が不足しているように感じていました。(まぁ、これらがなかなか難しい状況もいろいろとあったりはしますが)
そういった中でこうした情報発信に一定の可能性が見えたことで、業界にとってはひとつの希望となったのではないかとこれまた勝手に思っています。完全に中の人間ともいえない自分がこういうこともなんなんですがw
ゆっくりと時間をかけて、「音楽好き」な人を生み出すような仕組みになることを期待します。
そして、masskinさんもかかれたように、Paypalなどマイクロペイメントの利用も含めた方法でうまくマネタイズして長期的なスパンで活動できることを心から祈っています。
追記:
頭の中で漠然と描けていても実際に文章に落とすとなるとめちゃくちゃ難しいですね。。と改めて感じさせられましたw
なので、若干意味不明だったり欠如している部分あるかと思いますが寛大な目でご覧頂ければ幸いです。
そういえば安藤ケンサク、いよいよ発売されたようですね。僕は現在節約月間のため、しばらくは見送らざるを得ない感じですがw、GW中にはアマゾンはじめネット上でもぽろぽろレビュー出てくるかと思いますので、それに期待したいですw