iPadの日本発売日決定

アメリカでiPhoneを超える勢いで100万台出荷を突破したというウワサのアイテム、iPadの日本での発売日が決定したそうで、ネット上でのニュースやらブログやらでも話題になっていますね。残り3週間、発売日が近づくにつれ、iPhoneの時のような盛り上がりを見せていくのでしょうか??


■ アップル、日本含む9カ国で「iPad」を5月28日発売 (INTERNET WATCH
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20100507_365938.html



AppleiPadの国内発売日を5月28日に正式決定(GIGAZINE
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20100508_ipad_0528/



ちなみに、ブログでの取り上げられ方はどんな感じか少し気になったので、「kizashi.jp」にて検索してみました。そのキャプチャが下のような感じです。




昨日の夜発表の記事のため、現時点でのエントリーはまだまだ少ないようですが、今日から明日に掛けてきっと膨大に数が伸びてくるのだろうかと思います。肯定的なものが多いのか、それとも批判的なものが多いのか、気になるところですね。


自分は別にApple信者ではないため、単純に「非常にスタイリッシュな新しいデジタルツール」としてこのiPadを捉えて情報をキャッチアップしていますが、Cnetなどでの記事やらブログやらを追いかけてながら考えるに、現状の条件下においてはやっぱり日本での普及、浸透は少し厳しいのではないかと考えています。

その理由として挙げられるのは多くの方が指摘されていますが、iPadの大きな目玉である電子書籍の拡販に対して業界団体が積極的な動きをしておらず、日本でのサービス開始は遅れてしまいそう、というところに尽きるかと思います。
iPadの目玉として挙げられるのは「大画面タッチパネル」、「大画面アプリ」、「電子書籍」の3点が主要な点かと思いますが(長時間電源などもありますが)、最初の2点については大画面ではないものの、iPhoneで代用が利きますので、3点目の「電子書籍」が肝になってくる訳であって、その肝が現時点でほぼ利用できない状況と言うのは、これまでのゲーム業界でのハードウェア競争でも言われた「コンテンツありき」のデジタルツールの生存競争において、iPadにとって半ば致命的とも言えるのではないかという結論にならざるを得ません。


もちろん、Appleには強力な「ファン」がいますし、いち早く手に入れたいと考えるデジタルツールファンやアーリーアダプター的な行動をされる方もいらっしゃるので、全く売れないと言うことはないかと思います。ただ、日本に浸透するという視点で考えるとまだ厳しいのかな、と感じる次第です。加えて、アプリ関係では実機でのテストがおこなわれていないようなケースも多いようで(アメリカではそうらしいですね)、数多くのバグが発生しているとも聞きます。そうした点での買い控えも考えられるのかなと思います。


それではiPadは日本では今後普及していかないのか、と言われれば多くのデジタルファンの方が言及されている通り、そうでないと僕も思います。少しずつ重い腰を上げつつある出版業界も動かざるを得ない状況に追い込まれるのではないかと考えるからです。


この話しは結局、「出版業界も音楽業界と同じ轍を踏むのか!?」という話に辿り着くわけですが、僕の考えるシナリオは以下の通りです。



■ 大手が動かず「ベンチャー」が動くことにより、大手が動かざるを得ない状況となる。


敢えて「ベンチャー」と記載したのは、いわゆる昨今のネット業界などでのポリシーや理想もなくサービスを運営しているような「偽ベンチャー」と違い、「停滞した業界に風穴を開ける可能性のある候補」として定義したためです。まぁ本人たちにそういった意識があるかどうかは別としても客観的な視点で捉えると「蟻が象を倒す」的に思われるからです。



1) BOOKSCANのようなスキャン業者による書籍デジタル代行の登場
 (今回、ここでは話題になっている著作権の話についてはあえて触れず、そのサービスの可能性を考えます)


まず、Twittterなどでもいろいろと取りざたされているBOOKSCANからですが、BOOKSCANを利用して既に購入されている書籍がデータ化される、しかもBOOSCANは1冊100円という非常に格安な金額のため、爆発的に普及する可能性を秘めていると思います。BOOKSCANでデータ化されることは出版会社にとって、既存の本を持ちながらもデータで読みたかったユーザーからのデジタルデータの購入機会を損失することになり、もし爆発的にこのサービスが普及するならば、それこそ既存ユーザーの損失になりかねないため、「紙の本を購入したらデジタルサービスは格安でもしくは無料でセット」のような施策なども含めて大々的に攻勢を掛けてくることになるかと思います。BOOKSCANにはそういった「可能性」も期待しています。



2)アニメやニッチ系などの零細コンテンツホルダーの登場


次に考えられるのが同人誌のようなニッチなコンテンツホルダーの登場による市場の拡大が考えられます。自分はアニメを初めとしたニッチ系の世界に明るくないため、どういった市場規模かはわかりませんが、これまで流通の確保や印刷コストなどで出版を制限されてきたようなニッチなコンテンツホルダーにとって、デジタルでの出版は紙媒体と異なり初期コストが低いため、一気に進む可能性があります。音楽業界で言う247ミュージックのようなサービスも出てきてある時期を経過した段階で一気に爆発するのではないかと期待されます。



こうした動きが出ることで大手も動かざるを得ないというのが僕の想像するシナリオです。まぁ目新しさはないし、反論の余地も多々含んでいる推測なわけで、「期待してます」との文言どおり、半ば願望も含んでいます。


ただ、思うのはこうしたデジタルブックについては大手は自身の市場を食われるのではなく、むしろ拡大していくと僕は考えます。音楽業界を見るとデータの複製やP2Pによる共有などにより市場が縮小しているような動きも見えますが、これは「ファンを食い物にする」というスタンスではなく、「ファンを育てる」というスタンスでないことが大きな原因であると見ています。なんか性善説よりのスタンスのような気もしますがw


そうした音楽業界の前例を見てしまうと当然ネガティブな思考にならざるを得ないのもわかりますが、ネットならではのミニマルペイメント的な発想も含めてマネタイズの可能性は多くあるかと思います。


広く、長期的な視野に立ち、本来は相性の良いはずのネットと出版が融合される日を期待します。そして、それに伴うiPadなどのデジタルブックツールの普及も。やっぱり本ってステキですしね、紙でもネットでも。