ワンソースマルチユースの時代は来るのか?

先日読んだ、Advertimes掲載の田端信太郎さんによるコラムに激しく影響を受けていますw もし、ウェブに関わられているヒトでこの記事をまだ読まれていない方いらっしゃったらゼヒ早めに読むことをオススメします、というくらいいい記事。(この記事書いている時点で既に500ツイート超え!もしかしたらアドタイ記録かもw)

技術はコンテンツに対し中立でいられるのか?〜CD1枚74分とサビ頭ポップソングにその真髄を見る〜


勧めたい理由は何と言っても、僕にはこの記事の言っていることがすごく本質的に感じるから。この記事が本当に言いたいことからは若干外れますが、「何かが変われば(異なれば)付随するその周りも変わる(異なる)」、って文章で書くとごくごく当たり前のコトなんだけど、その納得への持って行き方に提示するサンプルが絶妙。
また、アナログレコードからCDへの変遷が起こした影響について鋭く分析している面など、この手のコラムではかなり読み応えのある内容になっています。

で、この田端信太郎さんの記事を読みながら自分で思ったこと、それが今回のエントリーのタイトルにあるように、「『ワンソースマルチユース』って本当に意味あんのかな?」ということでした。


メディアを始めとしたコンテンツプロバイダーにとってはワンソースマルチユースていうのは作業負荷の軽減となるまさに夢のようなことで。スマホだのタブレットだの、そして今後はスマートテレビだの、といった様々なデバイスがインターネットにアクセスして情報を表示するようになっていく中で、「ワンソースマルチユースは必須!」とか「ワンソースマルチユースなくしてデバイスごとの配信なんておぼつかない」なんて声も散見されます。
しかし、携帯電話によるインターネットへのアクセスの浸透や、インターネット初期とは比べ物にならないほどコンテンツの量が肥大化した昨今のウェブを管理するにあたって、それこそヒーロー的なスタンスで歓迎されたCMSいわゆるコンテンツマネジメントシステムも、それぞれのデバイスごとに出し分けるためのテンプレートの開発が必要だったりして結局そういった理想郷には到達していないのが現実です。

いやいや、ちゃんとCMSでワンソースマルチユース出来ているし、という声もあると思います。

もちろん、例えばECなどで商品の画像をひとつ登録して、それをサーバ上で処理して大きさの異なるデバイスに対応しているケースもあるし、むしろそれはデフォルト、といっていいくらい浸透しています。その他、デバイスが異なっても共通しているコンテンツは多々あると思うし、表示だけならワンソースマルチユースは実現可能です、というかなされています既に。


言いたいことは、

ワンソースマルチユースでデバイスの大きさに応じたコンテンツの表示はなされている。
しかし、その各デバイス毎に表示されているコンテンツは本当にユーザに求められているのか??


ちょっとわかりづらいかもしれないので翻訳すると、それぞれのデバイスによってアクセスする状況、時間、場所、心理状態が異なるのに同じ文章(量・質)、画像、タイトルでいいのか?ってことです。

先の田端信太郎さんの記事では記録媒体の変化により、産み出される楽曲も変わった、というようなことを書いています。確かに考えてみると、例えば同じ温泉情報でも雑誌媒体とウェブでは扱われ方は異なったりしています。でも、ウェブはウェブ、で一括りにされていて。画面への表示方法は異なるようにされているけど、内容は同じことが多い。下手すると表示方法ですら無理やり感があったりします。

すなわち、複数デバイス間での表示最適化はなされていても、それぞれのデバイスでの閲覧時の閲覧動機を加味したコンテンツにはなっていないよね、ということです。(やっているところももちろんあるにはありますが)

最近のソーシャルブームですっかり集客動線にばかり目がいっている感が否めないですが、ここの改善って成功するウェブにとって非常に大事なところ。LPOを礼賛するわけじゃないけど、LPOの考え方ってウェブサイト成功の肝だと思うので今一度そこに注目が集まるべきだと思うんだけどなぁ。。まぁソーシャルと比べて断然地味なんで面白いものじゃないし、だからフォーカスされづらいというのはあるのかもしれないですね。。


ちなみに、ここでいうLPOとは「LPO=キャンペーンページを作ったら売上げあがりますよ」的な軽い話ではなく、「ランディングページのコンテンツをユーザの閲覧動機に応じて使い分ける」ということを言ってます。5年くらい前まではランディングページ作るだけでも売上げ上がったんですけどね。あのインパクトありすぎる定型フォーマットがユーザに飽きられてしまっているのかもしれないですよね。。まぁその辺りはまた別の機会に考えてみようかと思います。(なんか当初書こうと思っていたこととだいぶずれてしまったような気もします。。)